十人十色詩

作者の日常を綴ったもの。小説やゲームなどの話題あり。
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HITなしですが、いかがでしょうか

※DQ6のテリーを主役とした、DQ10お題小説です。
 悪夢の暴君関連のお話です。不定期更新ですので、ご注意を。


 atapより 逆境よりから

 逆境より
 行き先は天国ですか
 地獄でしょうか
 それとも、このまま
 さあ、敵でないものを数えよう
 欲は膨らむと言いますが
 どうせ消えるというのだろう
 案ずるな、すべてうまくいく
 托すの裏にある表情
 こんな命などくれてやる
 まさか俺が、
 嗚呼……!
 さよならハッピーエンド
 只今絶賛幸せ無料配布中
 奇形の四葉のクローバー
 今世紀最大の恐怖ってね
 壊滅的じゃ生ぬるい
 足掻き通せ最期まで
 生存フラグ
 未だ現実が必要ですか




 今世紀最大の恐怖ってね

 俺を捕らえる、無数の目玉。溢れ出し、俺を飲み込まれていく――。
 次の瞬間、邪悪なる輪っかに、手足を捕らえられていた。

 身動きできない俺の前に、強大な影が立ちはだかっていた。
 右も左もわからない、異空間の中で、とてつもないプレッシャーが襲いかかっていた。

 爛々と光る、血に染まりし双眼。
 うねる暗黒が、俺の胸元へ近づき――掌と変形した。
 当てられた途端、焼けつく痛みが生じた。
 地響きを立てる、異次元の空間に、俺は悲鳴を上げる。

「ぐあっ……!」 「あと四つ――」
 痛みのあまり、歪んだ顔つきになる俺に、影が嗤った。
 

 跳ね上がる、俺の身体。肩で息をし、掛布団にしがみつく。
「何だっ……!? あの夢はっ……!?」

 引きつるような激痛が、胸元にあった。
 上着を脱ぎ、胸元に目を落とした。

 くっきりと浮かび上がる、焦げた焼け跡。印の一部分のようだった。
 それを見た俺は屈辱に震えると同時に、恐怖を抱く。

「……あれは、夢じゃないっ……!」

 ノックをする音が聞こえた。俺はすぐさま。
「ちょっと、待ってろ」


 着替え終えた俺が扉の外に出ると、桜髪の少年が迎えていた。
 どうしようもなくお人よしで、お節介焼きの王子さま。
 レックを連想させるガキだ。ただ。

「テリー兄ちゃん……。 顔色、悪いね……」
 青白い顔つきで、俺を見上げていた。

 ミュティン。そういうお前も……顔色悪いぞ。



 行き先は天国ですか

 魔法の迷宮で、よく遭遇する桜髪の少年。
 このガキ、ミュティンとは、どういうわけか。
 人を惹きつける力が、備えている。一匹狼である俺を、引っ張り出す。
 そんな強引ささえ、ときには鬱陶しいさえ思ってくる。

 カードやコインを、俺に迷いなく差し出す。
 奪われるとは思わないのか、このガキは。

 お人よしさ+お節介さは、あの王子様と同等。
 早死にしやすいタイプなんだろうなあ。
 敵に甘さをみせつける……そういう点では。


 俺を抜擢として、仲間に誘ったという経緯で、真グランゼドーラの宿にいる。
 ミュティンより先に、眠りに陥った俺は、あの悪夢を見てしまったのだ。

 そう、あの悪夢を。俺を震わせる、脅威なる存在を……。

 何を思ったのか。ミュティンは俺を、部屋へ引き戻した。
 無理やり、俺をベッドに座らせると、上着を摘み――引き上げた。

「……やっぱり」 不自然なことがあれば、男の貌になっていく。
 ミュティンというガキは、人一倍の世話焼きだから。

「離せっ!」 乱暴に引き剥がし、着衣を整える。
 身なりをきちんとする俺に、ミュティンは己の服をめくる。

 成長段階の胸板にあるものは――俺と同じ、焦げた焼け跡。
 ただし、俺とは先に、印が二つこびり付いている。

「……お前」 「“あいつ”に、狙われているんだ」
 釘付けになる俺に、ミュティンは自嘲な笑みをした。
 服の生地を伸ばし、俺に背を向ける。

「テリー兄ちゃんも、僕も、“あいつ”から逃れられない。
 夢の中で、束縛されている以上」

 小さな背中がうずくまり、二滴、三滴と、雫がこぼれ落ちていった。
 戦士とはいえ、まだ、12歳のガキか。

 俺は立ち上がり、二の腕で、小さな首を絞めた。
 くぐもった声に、俺は悪態つく答え方をする。

「この意気地なし! 男なら、反撃をしてみやがれ!」
 絞めつける圧迫感により、両手で何度も腕を叩くガキがいた。



 地獄でしょうか

 視界が歪んだと思ったら、ぐるぐると回っていく。
 とてつもなく、激しい眩暈とともに、俺は堕ちていく――。


 異次元の夢の中で、再び、“あいつ”が出現した。
 囚われの身となった俺を見下ろす、巨大な影の姿が。

 光り出す、血に染まりし瞳。長くもうねる腕が、俺の胸元へ伸ばす。
 掌が当てられ、激痛が走った。

「ぐああああああああああっ!」
 あのときとは違う、身を滅ぼしかねないスティグマ。
 もがき苦しむ俺に、巨大な影が忠告をする。

「私の手から逃れられない。その印がある限り――見るがいい」
 もう片方をかざすその方向には、両手足を奪われた少年がいた。
 俺と同じく、囚われの身となっている……ミュティン。

 その胸に刻まれる、所有の証。三つ目の印。
 青ざめ、気を失った少年に、巨大な影が予言をする。

「あと二つ――」 続いて、俺への予言も。
「あと三つ――」 奴は俺たちにとって、死神そのもの……くそっ。

 呪縛の輪を剥がそうと、抵抗し続けると、巨大な影が嗤い嘲る。

「――人の身で、購うとは笑止」
 威圧感が発する強大な風が、俺を襲撃し、目の前が真っ暗となった。


 俺は飛び跳ねるよう起床し、肩で荒い息をしていた。

「はあっ……。 はあ、はあ、はあ……」
 髪や額、肩、腕、全身において、汗まみれだ。

 情けないくらいに、力の無さを痛感している。
 夢の中では、“あいつ”には勝てない。

 湿り切った上着を脱ぐと、浮かび上がる印の一部分。
 生命を削り取っていくかのような、焼け焦げた二つの印。


“あと三つ――” 脳裏に残る、巨大な影の言葉。
 この印が集まり、完成するとき……俺は畏怖でいっぱいだ。



 只今絶賛幸せ無料配布中

 真グランゼドーラの城下町。その狭き通路に、いかにも怪しいものを見つけた。
 杉スノコでできた宝箱だ。なぜ、こんなところにあるのかは、理解不能だ。

 頑丈ではあるが、釘を外せば、跡形もなく崩れやすい。
 俺は裏技を行おうと、手をかけ、大工道具で――なっ!?

 突如、宝箱が開き、俺を飲み込んでいく。
 頭ごと、落下していく様を、俺は白黒としていた。


「……ろ。 ……きろ」 微かな声の主に、俺の両目が徐々に開いていく。
 目の前に、年老いた占い師がいた。水晶玉を抱え、俺の顔を覗き込んでいる。

「あんたにしては、らしくない面構えだよ」
 老女に見覚えがあった――それは。

「グランマーズ……!」 「久しぶりだね、テリー」
 驚く俺に、穏やかな表情をするグランマーズ。

 ミレーユ姉さんの育ての親かつ、師匠でもある。
 こんなところで、再会できるとは――。

 俺は起き上がると、グランマーズは本棚へ移動した。
 順番に調べつき、一冊の本を抜き取った。
 大雑把に、ページを開き、栞をつける――そして。

「テリー。これでも、読んでおきな」 グランマーズに、本を手渡された。
 そのタイトルは――『失われし解呪、シャナク』というものだ。

 シャナク……か。俺の世界では、僧侶や賢者が使用する呪文だ。
 アストルティアでは、古代呪文としているのか……。

 栞の入ったページを開くと、次のことが書かれている。

≪どんな呪いでも解ける呪文であるが、魔力の消費量が大きいため封印された。
 使用者が影響されないアイテムを一つ、用意しておくこと。
 それが、使用者の身を滅びない方法である≫

 シャナクを扱う、使用者。使用者が影響されないアイテム。
 この組み合わせでないと、不可能というわけか。

 読み終えると、グランマーズは複雑そうな顔つきになる。

「テリー……。 今のあんたは、生命を失いつつあるよ……。
 このままだと、悪夢の暴君に奪われていくよ……」

 悪夢の暴君。そいつって、もしや――!?

「ダークドレアムか!?」
 声を荒げ、グランマーズの肩を掴む俺に、水晶玉が転がり落ちていく。
 真っ二つに割れ、水晶の欠片が散乱していく――。

 ひび割れ、無残な姿と成り果てた水晶玉の横に、邪悪な気配がした。
 現れるのは、真っ赤な悪魔神官。その複数だった。

 こんなところまで――!? 奴は、執拗に俺を狙ってくるのかっ!?



 逆境より

 赤黒く消滅していく、悪夢の暴君の手下ども。
 雷神の剣を収める俺と、両手で下ろしたグランマーズと。
 戦闘態勢を解き、改めて、向き合った。

「……あまり、時間がないようだね」 「そのようだな」
 お互い、深刻に考えてしまう。それも、そのはずだ。
 結界を張っていた場所に、悪夢の暴君の権力が迫りつつあるからだ。

 グランマーズの皺くちゃな顔が、一層、歪み。

「異世界にまで手を出して――感心しないね」
 俺から天井へ視点を変え、目線が細くなっていく。

 闇に渦巻く、どす黒い気配と殺気。
 舞い降りる――悪魔の狩人。真っ赤に染まる、闇の剣士たち。

 身構える俺たちに、甲高い叫び声。

「殺させないっ!」 旅の扉から飛び出す、ミュティンの姿。
 奇跡の剣を両手持ちをし、天井高く飛翔する。

「ギガブレイク!」 刀身に眩い雷撃。
 伸縮し、闇の剣士たちに命中していった。
 跡形もなくなった敵に、ミュティンは安堵の表情を魅せた。

 俺たちの元へ駆けつけ、情報を伝える。

「テリー兄ちゃん! 僕たちの呪いを解く鍵が見つかったよっ!
 真セレドにいる知り合いが、教えてくれたよっ!」

 希望に満ち溢れる少年に、俺は拍子抜けをする。
「そんなことのために、お前は情報集めをしていたのか……」

 このガキは、俺よりも先へ進んでいく。
 どこまでも、あきらめつかないのか。
 レックみたく、購い続けていく……くくっ。

「テリー兄ちゃん……? 僕、おかしなことを言った……?」
 困惑するミュティンに、俺は意地の悪い笑みをする。

「いや、お前は正しい。間違ってなどいない」
 俺なんかよりも、お前は逞しい。いっちょ前に、なりやがってな。
 
「テリー。あんた、意地悪いね」 グランマーズの呆れ顔があった。
 長年の付き合いだ。それくらい、見通しているに違いない。


 奇形の四葉のクローバー

「大丈夫だったか? 二人とも。
 あいつらは、一体、何者なんだ?
 もしかして、ダークドレアムの刻印と関係しているのか?」

 アサナギの質疑に、赤き死神らが出現した。
 俺たちを取り囲み、残酷な忠告をする。

「――贄の羊どもよ。
 我が主の元へ連れていくまで、我々は貴様らを追い続ける」

 アサナギは古の巻物を手にし、厳しい顔つきで身構える。

「お前たちとの追いかけっこは、もう終わりだ。
 呪われたものを浄化する、古代呪文シャナク。
 これさえあれば、ダークドレアムの刻印といえど、打ち消してくれる」

 天井へ放り投げ、呪文詠唱をし始める。

「不浄なるものよ。この世に、穢れをもたらすものよ……」
 古の巻物に文字が浮かび上がり、青白く輝きを放つ。

 アサナギは両足を広げ、両手が滑らかに舞う。
 8の字の描き方をする彼に、奴らは一斉に襲撃してくる。
 魔の手が襲いかかる寸前、彼は顔を反らし、流し目をした。

「我が言葉を聞き、鎮まりたまえ。
 破邪の光にて、消え去りたまえ――シャナク!」

 混じり気のない神々しい白き光が、赤き死神たちを覆い尽くしていく。
 次々と、炭と化し、消滅していった。

 空中に浮かび上がる、古の巻物。
 青き炎に包まれ――跡形もなく消失していった。

 俺たちの胸に飛び出す、ダークドレアムの刻印。
 自然消滅をしていくのを、この目で目の当たりにした。

 ――これで、恐怖の追跡が終わった。
 俺たちを狙うことはない。

「良かったね。テリー兄ちゃん」 「ああ」
 ミュティンの喜びに、俺は同調していた。
 胸を撫で下ろすと、アサナギは構えを解いた。
 俺たちのほうへ振り返り、苦々しく笑う。

「……本来なら、この呪文は、大幅に魔力を使う。
 だけど、あの巻物のおかげで、魔力の消費量が最小限に収まった……」

 彼は天井を見上げ、両目を細める。

「それだけ、古代呪文は危険性を伴う。禁呪故に、巻物に封印された……。
 君たちのためなら……そんなことは、言ってられないからね」



 まさか俺が、

 ダークドレアムの仮面が砕け散り、素顔があらわとなる。
 淀み切った、切れ長の真紅の瞳。鼻筋の良い、端正な顔立ち。
 漆黒に染め上がった前髪が、さらりと流れていく。
 髪や目の色を除き――俺に、瓜二つだった。

「……っ!?」 俺は言葉を失い、悪夢の暴君を凝視する。
 その反応に、ダークドレアムは歪んだ笑みをする。

「驚いたか? 己と同じ貌に」
 身長よりも大きい片手剣を、一振りした。
 俺の胸に斬り傷を負わせ、血が飛ばしっていく。

 服ごと皮膚を抉られ、仰向けで倒れ込む身体。
 全身に、滑りけのある血液が浸透していく。
 血塗られ、徐々に、血だまりとなっていく様になる。

「テリー兄ちゃんっ!」 ミュティンの叫び声。
 悲痛に近い、動揺の叫び方だ。

「……みゅ……てぃ……」 口の中が血に含まれ、上手くしゃべれない。
 情けないほどに、俺の身体はままならない。

 こちらへ駆けつける足音が、否応なしに響く。
 入れ替わりに、金属音が激しく響き合う。

「テリー兄ちゃんを殺させないっ!」
 無我夢中で斬りつける桜髪の少年が、かつての仲間に重ね合わせる。
 青髪の青年、レックに。お節介焼きのお人よしの王子に。

 ……何で、奴のことが……。 くそっ……。
 奴に勝てないまま、死ぬわけにはいかないぜ……。
 想っている俺をよそに、二人の対決が続く。

「貴様の無謀たる勇気――無駄に終えよう」
 血の双眼が妖しく光り、ダークドレアム自身、闇色を覆った。
 目に見えぬ残像攻撃が、ミュティンを傷つけていく。

 吹き飛ばされていく、小さな身体。叩きつけられ、痙攣を起こしている。
 起き上がられず、奴を睨みつけながら。
【 2017/10/31 (Tue) 】 お礼小説 | TB(-) | CM(0)
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両性こたつむり

Author:両性こたつむり
「君が望む世界詩」の管理人です。
ロマサガ2、ダイ大などの二次小説を書いていますが、FTやSFなどのオリジナル小説も書いております。

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