十人十色詩

作者の日常を綴ったもの。小説やゲームなどの話題あり。
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ロマサガ2~逆行皇帝ソレイユ~ 118

※ラストダンジョン突入。


 「相反する太陽と蝶魔、光と闇の対立」

 激しく、荒々しい脈打ち。血肉と化した一面中の壁から、響き渡っていく。
 暗闇と同化し、生き物の胃袋の中にいるよう。
 そのような錯覚を、僕はとらえてしまう。

 絶えず動くダンジョンにて。艶やかな黒髪を持つ、妖姫の蝶がいた。
 初めから終わりまで、世界を追い求める気高き男。
 七英雄のリーダー、ワグナスであった。

 天井を見上げていた彼は、含み笑いをする。
「ノエルがやられ、私一人だけとなったか……」

 続いて、僕のほうへ振り向き、嘲りの言葉をかける。

「お前も最後の一人……。 終わりを導く皇帝……。
 我々と同じ古代人で、トーレンスの血族とは、不思議なことよ」

 全てを知った上で、ワグナスは優雅な態度を魅せる。
 リーダーたる、絶対的な君臨だ。

 緊迫感から一変、威圧感となる。身を浴びれば、委縮しそうな。

「一度は、気まぐれで、お前を生かしたまま捕えたが――それも終わりだ」
 ワグナスは双眼を細め、僕に宣言をした。

「ワグナス……!」 デイ・ブレードを握りしめる、汗ばんだ僕の両手。
 心臓がやけに、激しく打っている。全身に、熱が帯びてくる。

「お前に止められるか? 我々との戦いを、我々との因縁を――いや」
 ワグナスは言葉を切り、アルシオーネたちのほうに顔を向けた。

「――正確には、“お前たち”か」
 彼の眼差しの先には、身構えるオアイーブの姿。

「ヴァンナ・トーレンス。今は、オアイーブか。
 お前に、相応しい末路を与えよう。妹のように――」

「なりません。“あなたたち”に、殺されるわけには、いきません」
 侮辱ありき挑発に乗らず、オアイーブは断固拒否をした。
 迷いのない彼女に、ワグナスの憐れみ。

「古代人らの傀儡。短命種の奴隷。
 どちらにも配属するお前は――永遠に地獄のままだ」

 彼女自身を苦しむ、過ちの枷。
 彼女は小さく笑い、苦々しくも。

「……それでも私は、“あなたたち”を止めてみせます」
「お父様とお母様の、意志でもあるわっ!」

 同調して応答するアルシオーネに、ワグナスは口元を緩む。

「ふふっ。その口調だと、お前は皇帝のサラブレッドか。
 ソレイユに続く、被害者というわけか」

 僕も彼女も、因縁によって囚われた――歴史の被害者だ。

「だったら、何なのよっ! あたしたちは、絶望なんてしないわっ!」
 ムーンライトを構える彼女に、ワグナスはいつになく、真剣な表情で。

「哀しみを乗り越えてこそ、お前たちは強いのか?
 いいや。憎しみを焦がし燃やす、七英雄は最強。
 その中でも、この私が最強――行くぞ」

 手をかざし、炎の嵐を放出させる――ファイアストーム。
 全てを飲み込まんとする、荒れ狂う火炎に、コウメイは両手を差し出す。

「炎の壁!」 僕たちの前に出現した、凝縮された炎の防壁。
 遮り、妨害していった。

 入れ替わりに、アルシオーネが躍り出た。
 ワグナスに向かって、接近していく。

 彼の両眼が、妖しく光った。左手に絡みつく、炎の鞭。
 しなやかに伸び、アルシオーネの足へと命中する。

「うっ!」 前のめりに倒れる彼女に、光の拘束縄が体にまとわりつく。
 動きを封じ込められた彼女を、血肉の壁へと放り投げる。

 衝撃と振動。地響きを立て、アルシオーネはその場で倒れた。
 身動きままならない彼女に、僕は目を奪われる。

「アル!」 「所詮、親の七光りに過ぎんか」
 
 アルシオーネに対して、優位を魅せる七英雄のリーダー。
 失望したと、そう云わんばかりに。

「これでは、攻めに来れんな」 残念そうに呟き、僕のほうに視点を変えた。
 その目は、狂喜と邪悪にまみえたもの。

「どうした、ソレイユ? 攻めに入らないのか?
 皇帝のわりには、守り気味だな」

 逆なでするような台詞に、僕は怒りの衝動を駆られる。

「舐めるなーーーーーー!」 激情のあまり、これ以上にない駆け足をした。
 血肉のフロアを、力いっぱいに踏みつけながら。

 デイ・ブレードを振りかざす僕に、ワグナスの歪んだ笑み。

「馬鹿め。――ダークスフィア」 至近距離で、強大な闇を発動させた。
 僕を包み込み、体力を蝕み、奪い取っていく。
 
「……っ!」 悲鳴すらでない、苦痛の叫び。
 吹き飛ばされ、転がり落ち、横たわっていく。

 精神的な拷問を与えるかのような、全身への激痛。
 体力の消費が大幅に減っているせいか。力が出ない。

「月光!」 コウメイの天術により、半分ほど回復した。
 片手で立ち上がろうとする僕に、ワグナスは謎かけ風に問いかける。

「ほう。まだ、生きようとするのか?
 その先に、何が視える? 何が視えようか?」

 何が視えるか……って? それは……。

「……僕たちの手で、“お前たち”を倒し……。
 僕たちの時代で、終止符を打つ未来だっ……!」

 浮かび上がる、レオン皇帝たちの生き様。
 浮かび上がる、彼らを支えた仲間たちの生き様。
 無駄には、したくない。僕たちの手で、この闘いを終わらせる。

「ジェラール、走るんだっ!
 走って、走って、相手をやっつけろーーーー!」

 応援にも似た、コウメイの助言。純粋故に、無謀さが残るもの。
 軍師には不向きな、発言だ。そんな彼に可笑しくなり、僕は気を許してしまう。

「……そうするよ」 両足で踏ん張り、ワグナスを見据え――正々堂々と。

「ワグナス。僕は、お前なんかに負けないっ!
 一撃で――決めてみせるっ!」

 デイ・ブレードを構え直すと、ワグナスは鼻で笑う。
「一撃、だと? お前に、できるものならな」

 僕の両足が大きく広がり――疾走した。
 早々とした足、攻めに入っていく様を。

「単純な直進だな」 ワグナスの掌に、闇色の魔力を生み出そうとする。
 だが、真横に現る影の雷により、無残に消えてしまった。

 その方向には、両手で構え、迎え撃つオアイーブの姿。
 湯気を生み、煙が上昇し続ける掌。

「オアイーブ! 邪魔立てを――」
 ワグナスが行動を移す前に、僕が懐に近づき、腰を低くした。

「乱れ――」 力を溜めつつ、渾身の一撃を放つ。
「雪月花!」 一心になって、斬り刻む三自然。

 胸元を抉る、凍える致命傷。ワグナスは吐血し、僕を睨み据えて。

「ぐふっ……! 七英雄は最強……最強なのだっ……!
 お前のような皇帝なんぞに……やられるわけにいかぬっ……!」

 後ずさりをし、さらなる奥底へ逃げていく。
 僕は深追いをせず、真っ暗闇を凝視するのみだ。
【 2017/08/06 (Sun) 】 ロマサガ2小説 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

両性こたつむり

Author:両性こたつむり
「君が望む世界詩」の管理人です。
ロマサガ2、ダイ大などの二次小説を書いていますが、FTやSFなどのオリジナル小説も書いております。

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